1. 基本的な取組み姿勢
環境・社会課題への取組み、新しい産業・社会構造への転換を支援する各種ファイナンスに前向きに取組むとともに、新しい商品やサービスの開発にも取組みます。環境・社会に関するリスクを適切に把握し、環境・社会に負の影響を及ぼす可能性のある事業を行うお客さまとの対話を通じて課題の改善に努め、改善がみられない場合は投融資の制限・禁止等を行うことで、環境・社会リスクの低減を図ります。
環境・社会に配慮した投融資方針
国際社会は、持続可能な開発目標(SDGs)やカーボンニュートラルの達成を目指し、地球環境の保全、人権の保護、不当な労働の排除、腐敗の防止などの環境・社会課題の解決に取組んでいます。
我々の経済・社会は、自然や生態系から様々な便益を享受することで成り立っており、環境課題は地球規模の重大な課題として、気候変動と自然資本/生物多様性を一体的に理解し、対応を進めていくことが求められています。また、社会課題については、人権の尊重、生活インフラの改善、教育・医療の質の向上等への要請が従来以上に高まっています。
企業は自らの事業活動のサプライチェーン全体を考慮して環境・社会に対する責任を果たしていくこと、金融機関では投融資を通じて環境・社会のネガティブ・インパクトの緩和とポジティブ・インパクトの拡大に寄与することが求められています。
あおぞら銀行グループは、「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」を経営理念とし、あらゆる金融サービスや事業者としての活動において、経営戦略と一体化したサステナビリティを推進し、社会的価値と経済的価値の両立を目指します。
あおぞら銀行グループの環境への取組方針を定めた「あおぞら銀行グループ環境方針」、あおぞら銀行グループの人権への取組方針を定めた「あおぞら銀行グループ人権方針」のもと、あおぞら銀行グループが社会のサステナブルな発展に貢献する投融資を通じてお客さまとともに持続的に成長していくために、「環境・社会に配慮した投融資方針」(以下、「本方針」)を制定しています。
本方針による投融資は、関係するすべての国・地域の法令遵守のもとで運用されます。
環境・社会課題への取組み、新しい産業・社会構造への転換を支援する各種ファイナンスに前向きに取組むとともに、新しい商品やサービスの開発にも取組みます。環境・社会に関するリスクを適切に把握し、環境・社会に負の影響を及ぼす可能性のある事業を行うお客さまとの対話を通じて課題の改善に努め、改善がみられない場合は投融資の制限・禁止等を行うことで、環境・社会リスクの低減を図ります。
環境・社会課題の解決に向けた投融資の取組みは、経営計画に反映し、環境・社会に配慮した投融資業務を推進するとともに、ビジネス環境や社会的な要請、および事業活動の変化等に応じて、随時見直してまいります。金融機関としての投融資業務が適切に機能を発揮するよう、ビジネス、リスク管理、開示の面で体制を整備しています。ビジネスについて、個別の投融資案件の取上げは、リスク対比の収益性、お客さまの信用力、ビジネスモデルの審査に加え、環境・社会課題の観点から検証を行った上で、投資委員会で決裁しています。リスク管理について、気候変動リスクや環境・社会課題に晒されているお客さまの状況分析等の調査を行います。
(1) 環境・社会課題の解決への取組みを支援する投融資の推進
当社はあおぞら銀行グループとして、金融ビジネスにおける社会的価値創造に取組み、持続可能な環境および社会の発展を実現するため、投融資を通じて、環境・社会課題の解決に向けたお客さま自身の取組みを積極的に支援してまいります。
あおぞら銀行グループは、「あおぞらESG支援フレームワークを活用するなど、お客さまの課題認識や状況にあわせて適切なサステナブルファイナンスを提案します。
(2) 環境・社会に対し負の影響を及ぼす可能性のあるファイナンスへの取組み
環境・社会に対し、負の影響を及ぼす可能性のある投融資について、「セクター横断的」および「特定セクター」の取組方針を定めています。個別投融資案件の検討においては、お客さまの事業(サプライチェーンを含む)について、お客さまから提供頂く情報や入手可能な公開情報等に基づいて、環境・社会に対する負の影響やそのリスクを調査のうえ、その低減・回避に向けたお客さまの取組みの実施状況を確認し、環境・社会課題の観点からの検証を行います。
以下に該当する場合、重大な環境・社会に対するリスクまたは負の影響を内包していると考えられます。環境・社会に対するリスクまたは負の影響を認識した場合、投融資には取組みません。
・ラムサール条約指定湿地へ負の影響を与える事業
・ユネスコ指定世界遺産へ負の影響を与える事業
(当該国政府およびユネスコから事前同意がある場合を除く)
・ワシントン条約に違反する事業(各国の留保事項には配慮)
・児童労働・強制労働・人身取引を行っている事業
・所在国の法令に関して違法な行為、所在国の環境や人権の法整備が遅れている場合においては国際的な環境や人権に関する規範に反する行為、および公序良俗に反する行為を伴う、または、目的とする事業、および反社会的勢力
以下に該当する場合は、環境・社会に対するリスクまたは負の影響を内包していることから、投融資を検討する際には、リスク低減・回避に向けたお客さまの取組みの実施状況を確認し、慎重に取引判断をします。
・先住民族の地域社会へ負の影響を与える事業
・非自発的住民移転に繋がる土地収用を伴う事業
・保護価値の高い地域へ負の影響を与える事業
・紛争地域における人権侵害を引き起こす、または助長する事業
(課題の概要)
石炭火力発電は、他の発電方式に比べて、温室効果ガスの排出量が多い等、気候変動や大気汚染への懸念があり、パリ協定の目標達成に向けた脱炭素社会へのスムーズな移行の妨げとなるおそれがあります。
(方針)
石炭火力発電所の新設や発電設備の拡張に対するファイナンスには取組みません。
なお、二酸化炭素回収・利用・貯留技術等の脱炭素社会への移行に資するお客さまの取組みを支援する投融資については、前向きに取組んでいきます。
(課題の概要)
火力発電所での石炭の燃焼等を通じて、温室効果ガス排出量を増加させる可能性があります。
開発に伴う土壌の移転や炭鉱から排出される有害廃棄物による生態系への影響等に配慮する必要があります。
適切な管理がなされず、落盤事故、強制労働が発生したり、開発に伴い、先住民族・地域住民の非自発的な移転などの人権侵害が発生する可能性があります。
(方針)
新規の炭鉱開発に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認します。
環境への影響が大きい山頂除去採掘(Mountain Top Removal, MTR)方式で行う炭鉱採掘事業に対する投融資は行いません。
また、発電事業向けに一般炭を供給する新規の炭鉱開発は、将来の温室効果ガス排出量増加につながる可能性があるため、投融資は行いません。
(課題の概要)
石油・ガスは、重要なエネルギー源等として社会に必要不可欠である一方、温室効果ガスの排出を通じた気候変動への影響に配慮する必要があります。
オイルサンド、シェールオイル・シェールガス、石油・ガスパイプライン、北極圏(北緯 66 度 33 分以北の地域)での開発については、土壌や水質の汚染、生態系への影響、先住民族の地域社会への配慮が必要になります。
(方針)
オイルサンド、シェールオイル・シェールガス、石油・ガスパイプライン、北極圏(北緯 66 度 33 分以北の地域)での開発に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認します。
(課題の概要)
水力発電はクリーンなエネルギー供給に資する一方、ダム建設に伴う生態系や住民の生活環境(含む非自発的な移転)への影響に配慮する必要があります。
(方針)
新規の大規模水力発電(堤防の高さ15m以上かつ出力30,000KW以上)に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認します。
(課題の概要)
バイオマス発電は、有力な再生可能エネルギーとなり得る発電方式である一方で、燃焼により温室効果ガスを排出していることから、燃料の製造過程を含めたライフサイクル全体で温室効果ガス排出の緩和策などの環境社会配慮がなされているかを確認する必要があります。特に木質バイオマス発電は、燃料が生産、加工される過程で、大規模な森林伐採によって生態系への影響や生物多様性の毀損や先住民族の権利侵害が発生するリスクがあります。
(方針)
バイオマス発電に対する投融資を検討する際には、ライフサイクル全体で温室効果ガス排出の緩和策などの環境社会配慮がなされているかを確認するとともに、木質バイオマス発電においては燃焼材を含めお客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認します。
(課題の概要)
森林は、生物多様性の保全にとって重要であるとともに、二酸化炭素の吸収・貯蔵機能を通じ、気候変動の緩和にとっても重要な役割を果たしています。
木材・紙・パルプなどの生産を目的とした無秩序かつ大規模な森林伐採を伴う事業については、二酸化炭素の増加による気候変動リスクの増大、生物多様性の毀損、地盤沈下・浸水による土壌の毀損、地域住民の生活環境への大きな負の影響などに配慮する必要があります。
(方針)
森林伐採を伴う事業に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認します。
なお、森林伐採を伴う大規模農園開発に対して投融資を行う際には、お客さまにNDPE(No Deforestation, No Peat, No Exploitation(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ))を遵守する旨の公表を求めます。
(課題の概要)
パームオイルの生産過程で、先住民族の権利侵害や児童労働等の人権課題、天然林の伐採・焼払いや生物多様性の毀損などの環境問題が起こる可能性があります。
(方針)
アブラヤシ農園開発に対して投融資を行う際には、お客様にNDPEを遵守する旨の公表を求めます。
パーム油の流通等関連する事業に対し投融資を検討する際には、RSPO (Roundtable on Sustainable Palm Oil)の認証等、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認します。
また、お客さまのサプライチェーンにおいても同様の取組みがなされるよう、サプライチェーン管理の強化、ならびにトレーサビリティの向上を要請します。
(課題の概要)
原料である葉たばこの栽培時においては、児童労働・強制労働撤廃のための人権配慮等が必要になります。加えて、たばこを吸うことは、肺がんや呼吸機能障害などの健康被害を引き起こす可能性があります。
(方針)
たばこ製造への投融資を検討する際には、児童労働・強制労働や健康被害に対する、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認します。
(課題の概要)
クラスター弾は、内蔵する子弾を空中で広範囲に散布するよう設計されたもので、その不発弾などによって一般市民に甚大な被害を与えてきており、わが国を含めた国際社会の中でも「クラスター弾に関する条約」が採択される等、非人道的な武器として認知されています。また、戦争に用いる目的で製造され、一般市民も含めて、無差別かつ甚大な影響を与える核兵器、生物・化学兵器、対人地雷は、クラスター弾と同様に人道上の懸念が大きいと国際社会で認知されています。
(方針)
クラスター弾等の非人道兵器の製造に対する投融資は行いません。
(課題の概要)
原子力関連の技術、機材、核物質が軍事転用につながるおそれや、事故による環境・社会への影響が長期かつ広範囲に及ぶ懸念があります。
(方針)
原子力に関連する事業への投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮への取組み状況や取組み姿勢を情報収集します。
(課題の概要)
プラスチックは、食品ロスの削減等に寄与している一方で、金属等の他素材と比べてリユース・リサイクル素材として有効利用される割合が低く、不適正な処理による海洋へのプラスチックごみの流出による環境汚染が懸念されています。
(方針)
プラスチックに関連する事業への投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮への取組み状況や取組み姿勢を情報収集します。
(課題の概要)
船舶は、他の輸送手段に比べ、単位輸送あたりのCO2等の排出量は少ない一方、硫黄酸化物、温室効果ガス、バラスト水、海洋プラスチックごみ、油濁事故等の環境問題があります。
(方針)
船舶に関連する事業への投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮への取組み状況や取組み姿勢を情報収集します。
(課題の概要)
鉱山開発は、森林破壊や有害廃棄物による生態系への影響、居住する住民の強制排除、児童労働・強制労働、政情が不安定な地域での汚職や腐敗等に配慮する必要があります。
(方針)
鉱山に関連する事業への投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮への取組み状況や取組み姿勢を情報収集します。